N BOTTLE CONDITIONEDとは ：
奈良醸造は、ベルギーで古くから用いられている「瓶内二次発酵」の手法によるボトルシリーズを展開しています。これは瓶詰めの際に少量の酵母と糖分を加えることで、瓶内で発酵がゆるやかに進んでいくものです。年月を経て変化を楽しむことができる、熟成タイプのビールとなっています。

【 メーカー コメント 】　
ビアスタイルはベルジャンダークストロングエール。名前に含まれているようにベルギーに起源を持つこのビール、その歴史を遡れば修道院に行き着きます。中世のヨーロッパでは、安全な飲み物として（ビールは一旦麦汁を煮沸して殺菌するのでお腹を壊しません）修道院でビールが造られ、人々に振る舞われていました。なかでも、トラピスト会修道院で作られるビールは「トラピストビール」と呼ばれ、現在においても造り続けられています（日本国内でも手に入りやすいものでは、オルヴァル、シメイ、ロシュフォールなど）。
修道院を飛び出して外で造られたものはトラピストビールと名乗ることはできないのですが、この伝統的なスタイルにオマージュを捧げた造りとなっています。
 
ビールの見た目は深い褐色、しかしながら、スタウトといったいわゆる黒ビールとは味わいに一線を画しています。これは、焙煎した麦芽を使用していないことによるもので、特有の焦げ感を伴った苦味は感じられず、スムーズな飲み心地になっています。

グラスを傾けると、ほんのりとバナナのような果実香に、レーズンや干したイチジクを思わせる香りも潜んでおり、複雑さを伴ったフルーティな香りが印象的です。口に含めば、重層的なボディを感じつつもフィニッシュはドライ、8.0％というアルコール度数の高さを感じさせない仕上がりとなっています。

味わいと香りを存分に楽しんでいただける液温は、通常のビールより少し高めの12℃前後。温度が上がるにつれ、隠し味に忍ばせたオレンジピールやアニスの香りが感じられるようになります。それはまるで、黄昏時に様々な色合いを見せながら暮れていく空のようでもあります。ゆっくりと飲みながら、このビールの持つさまざまな香りが開いていくさまを楽しんでいただければと思います。